VTR1000SPのエンジンもスゴイんですけど、これとは比べ物にならないくらいすごいエンジンのバイクがあったんです。
それがNR500!
1979年にホンダが世界GPに送り出したレーサーです。
これと比べればRC213Vだって普通のエンジンに見えてしまいます。
このバイクを特集した雑誌が出たので買っちゃいました。
2号連載なので当然両方買いました。
詳しく書くとそれこそこの雑誌になっちゃうので概要だけ。
まず、ピストンが円ではありません!
楕円(長円)形です。
それをV型4気筒に配置。
1気筒当たり吸気4、排気4の合計8バルブ。
ここまで書いてわかる通り4ストロークエンジンです。
この時代の500ccのレーサーで4ストロークなのはこのNR500のみで、他はすべて2ストロークエンジンです。
なぜか?
同じ排気量なら2ストロークエンジンは4ストロークエンジンの2倍の出力が出せるからです。
それは、同じエンジン回転数の時2ストロークエンジンの爆発回数は4ストロークエンジンの2倍だからです。
にもかかわらず、なぜホンダは4ストロークエンジンで参戦して勝ち目があると思ったのでしょうか?
「同じ回転数なら」出力が2倍、ならば回転数を2倍にすれば同じ出力になる!
と考えたからです。
実際この時代の(と言うより今でも)2ストロークエンジンは10000rpmくらいが限界で、吸排気の機構上これ以上回転を上げることができません。
ところが4ストロークエンジンなら20000rpm以上回せる可能性がある。
このためにホンダの持てる4ストロークエンジンの技術をすべてつぎ込んで開発されたのがこのNR500なのです。
さらに、エンジンのみにとどまらずフレームがモノコックだったり、20000rpmからの強力なエンジンブレーキ(アクセル閉じるだけで後輪がロックする)に対処するためのバックトルクリミッターが開発されたり、新機構満載のレーサーでした。
このバイクで世界GPに参戦していたのが、われらが片山敬済!
当時どんな成績を残すのかとても楽しみでした。
が、しかし、新技術満載のこのレーサーは片山をもってしても2ストローク勢に全く歯が立たなかった。
その後、色々改良を重ね速さを増していったものの、結局優勝どころか最高でも11位と言う散々な結果のまま、2ストローク3気筒のNS500にバトンを渡すことになってしまいました。
しかし、このバイクの開発でホンダにはとんでもない量の技術の蓄積があったのではないかと思っています。
このバイク、茂木のコレクションホールに展示されているので是非見に行ってください。
私も2018年7月に行ってきました。
ゼッケン5は片山の車です。
私のVTR1000SP1もこのバイクの精神を引き継いでいると感じる素晴らしいエンジンを持っています。
私がVTRを好きな理由の原点がこのバイクなのです。