Goblin's Diary

バイクで鈴鹿サーキットを走ってます。色々書いています。

私のクルマ遍歴(その3)

軽トラを足に使っていたんですが、やはりそれなりのクルマが欲しいとは思っていましたが、これ!と言うクルマが無いまま過ごしていたある日(1992年の夏です)、靴を買おうと思って靴屋さんに行ったら靴屋さんの隣にあるオレンジ色のカー用品店(〇ート・〇ックス)の店頭にこのクルマが置いてあり、オークションにかけられていました。

​PP-1 HONDA BEAT​



となりのジュリエッタは娘のクルマです。

1991年式、走行約2000㎞のビートに当時出たばっかりのパイオニアのカーナビ(まだ自分の位置を表示するだけでルート検索できない時代だったけど、値段はシステム全体で50万円オーバー!)が付いていました。​

元々カーナビのデモカだったんです。

ナビだけでも50万円以上で、当時ビートの中古車が110万円前後でしたから、結構な値段が付くんだろうなと思いながらも​¥1,111,111​で入札してきました。

後日電話がかかってきて「あなたが落札者です。」とのこと、自分が最高入札者だったのか尋ねたところ、上位入札者が順に辞退したので順番が回ってきた事が分かりました。

キャンセルしても良いと言われちょっと考えましたが、これも何かの縁と思って購入する事にしました。

買った時は、ミッドシップってなかなか乗る機会が無いし、ましてオープンなんて乗る機会はもうないだろうから短い期間でも所有すると楽しいかな?

と言う気持ちで、まさかこのクルマに26年間​も乗り続けるとは思いもしませんでした。​​​

最初は噂通り​​アンダーステアで全然楽しくなーい!​​​と思ったんですが、それは私が乗り方を分かってなかっただけだったんです。

ビートに限らず、クルマと言うのは​​ブレーキングでフロントタイヤに荷重​​​をかけてステアリングを切ってやると結構曲がってくれるんですが、特にミッドシップはフロント荷重が軽いのでこの操作が重要になってきます。

最初はそんなことが分からないので、普通にステアリングを回してしまって、​どアンダー​を連発。
いくら安定方向の味付けと言ってもこれでは全然曲がらなーい。

しかし、その内上記の​フロント荷重​が分かってくると​頭がちゃんと向きを変えてくれる。​

​これは楽しいぞ!​

基本アンダーステアなハンドリングなので、リアをスライドさせるようなコーナリングはできませんが、ちゃんとタイヤを路面に押し付けてコーナリングするととても気持ちいい。​​​​​​​

8500rpm回るエンジンと軽快なハンドリングで乗れば乗るほど楽しいクルマでした。

よく言う、​交差点を曲がるだけでも何かしら楽しさを感じる​クルマそのものです!

と言う事で、思いのほか気に入ってしまいました。

このクルマに乗っていると、高級スポーツカーも大して羨ましくないんですよねぇ。なぜか。
そりゃ手に入れられるものならそうしたいけど、ビートに乗ってるとあまりそう思わなかったですね。

ましてや、国産スポーツカーなど比較対象にもなりませんでした。

よくカプチーノコペンAZ-1と比較されるんですが、FFのコペンは私にとって最初から比較対象にもなりません。
カプチーノAZ-1はターボなので動力性能はお話にならないくらい上ですが、乗ってみるとファミリーカーに感じました。

なにが違うか?

​ブレーキです!​

ビートのブレーキペダルはほとんどストロークしません。
マスターバックも小さいです。
​これぞスポーツカーのブレーキ​だと思います。
右足の力加減だけでブレーキ操作する感覚が良いんです。

他車種は結構ペダルが沈むので全然スポーツできませんでした。​​

さらには​シフトフィーリング​です。
シフトはワイヤーなんですが、とてもしっかりした手応えでシフト操作が楽しい。
スポーツカーの楽しみとして良くシフトチェンジがあげられますが、まさに楽しいシフトチェンジ!

こんなにも楽しく、気に入っていたビートを​​​​​なぜ手放してしまったか・・・?

一つは、バイクメインの生活に切り替えるため。

ビートも製造から27年も経過するとさすがに色々不具合が出ます。
通常のメンテはそこそこやってきましたが、ブレーキキャリパーやディスク、ラジエターパイプ(リアエンジンからフロントのラジエターまでは鋼管なので錆びる)の交換などなど、ディーラーで大雑把に見積もってもらうと30万円はくだらないと言うお話。
最低限でこれですから、今後の維持費は推してしるべし。
いくら気に入っていてもそこまでの経済的負担を負う気持ちにはなれなかったです。

それならバイクにお金かけるって事です。

これでビートがこの世に1000台くらいしか残っていないと言うならお金かけても維持しようとなるのかもしれませんが、未だに10000台をゆうに超すビートが走っているそうです。
希少性もない車にそんなにお金をかけても・・・と言う打算も正直ありました。

他にも理由があるんですが、あまり面白い話ではないし長くなるので省略。

と言う訳で決断には少々時間がかかりましたが、結局2018年に手放してしまいました。​​​​
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​​1台のクルマを26年間所有すると言う簡単には経験する事の出来ない貴重な経験​​
を自分に与えてくれたビートは本当に素晴らしいクルマだと思います。

もう今の歳からは26年間同じクルマに乗り続けることはできないと思います。
今すぐ車買っても、26年後は84歳です。​生きてるかさえ怪しい・・・。

しかし、これからも26年は無理にしても、すこしでも長く所有し続けられるクルマやバイクに巡り合えることを願っています。
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